実体験に基づく苦しみ

イデオロギーが身体化してしまった人間の言葉」にはなかなか有効な反撃ができない.日本軍国主義をドライブしたのは,いわゆる「青年将校」的なエートスであった.これは石原莞爾的な「世界戦略」と「東北の寒村の次男坊三男坊の貧窮と飢餓と劣等感が生み出したルサンチマン」のアマルガムである.都市の左翼的知識人やリベラル派は「戦略」は批判できたが,「飢饉の年に娘を苦界に沈める貧農の苦しみが,お前らにわかるか」というタイプの恫喝の前には口を噤んだ.
内田先生のブログより.被抑圧者の肉声には反論しにくいんですよね.