効率的に身に着けたものは浅い

「ここまで到達すれば,こんないいことがある」という利益が事前に開示されていた場合,人間は「では,どうやって最短時間・最小エネルギー消費で,『そこ』にたどりつくか」を考えるからである.最小の努力で,最大の報償を得る方法を考える.費用対効果の最もすぐれた学習方法を探し始める.当たり前のことだ.だが,そうやって最短期間に最高効率で身につけた英語力は,むかしの子どもが何年もかかって英語の小説を読んだり,英語の映画を見たり,英語の音楽を歌ったりしながら,じわじわと身につけた英語力と比べたときに,その厚みや深みにおいて比較にならない.
内田先生のコラムより.