マニュアルを整備しすぎると,模索する努力と失敗による気づきがなくなる

何かのマニュアルを与えればミスは確実に減るでしょうし,売り上げは簡単に伸びるでしょう.しかし逆に従業員の思考が停止してしまう.お客様へのよりよい応接を自分自身で模索するプロセスや失敗の中にこそ,大事な気づきがある.そんな経験と努力を通じて従業員には人生の勝利者となってほしいのです.アメリカのように,ルールをつくり,結果をまず求めてしまうと,経験のある上司が徹底的にノウハウを叩き込むところからはじまります.すると,短期的には効率がいいのですが,いつまでも思考力が高まらないため,さらに上司が管理し,マニュアルをつくらなくてはならない悪循環になります.逆にうまくいかないことは承知のうえで,まず経験をさせ,人間関係への気配りや思考の質を高めます.すると結果が出るようになり,モチベーションも上がるという相乗効果を生むのです.これこそ本来の日本型組織の強さであると考えます.
大塚常好氏のコラムより.