言われた通りではなく,自分で考え,解決策を見つけ,言葉で説明しなければならない

スターン氏は「あなたは,なぜここをこういうふうに弾くのですか」と,いくつも質問してくるのです.答えられずにいると「教えてくれた先生が言ったからと,そのまま従うのはこれから改めなくてはなりません」と厳しく忠告してくださいました.スターン氏は「作曲者の自筆譜を研究して,自分なりの演奏をしなくてはならない.しかもそれを言葉で表現できなくてはならない」とも言いました.問題を自分で考え,自分の内部で消化し,解決策がきちんと自分のものになっていなければならない,と.自分でどう弾きたいのか,どう表現したいのか.それは,今までの「学生」の生き方とは違う「プロの音楽家」として生きる姿勢です.衝撃でした.
諏訪内晶子氏のコラムより.