日本に本社があるというだけのグローバル企業が日本国民から搾取する

ことあるごとに「日本から出て行く」と脅しをかけて,そのつど政府から便益を引き出す企業を「日本の企業」と呼ぶことに私はつよい抵抗を感じる.彼らにとって国民国家は「食い尽くすまで」は使いでのある資源である.汚染された環境を税金を使って浄化するのは「環境保護コストの外部化」である(東電はこの恩沢に浴した).原発を再稼働させて電力価格を引き下げさせるのは「製造コストの外部化」である.工場へのアクセスを確保するために新幹線を引かせたり,高速道路を通させたりするのは「流通コストの外部化」である.大学に向かって「英語が話せて,タフな交渉ができて,一月300時間働ける体力があって,辞令一本で翌日から海外勤務できるような使い勝手のいい若年労働者を大量に送り出せ」と言って「グローバル人材育成戦略」なるものを要求するのは「人材育成コストの外部化」である.
要するに,本来企業が経営努力によって引き受けるべきコストを国民国家に押し付けて,利益だけを確保しようとするのがグローバル企業の基本的な戦略なのである.
内田先生のコラムより.