知性の活性化

高等教育の目指すべきことは一つしかありません.それは「どうしたら学生たちの知性が活性化するか」について創意工夫を凝らすことです.学生たちの目がきらきらと輝き始めるのはどういう場合か,学生たちが前のめりになって人の話を聞き,もっと知りたい,もっと議論したい,もっと推理したいというふうになるのはどういう場合か.それについて集中的に考えるのが大学での教育だろうと僕は思っています.一度脱皮し,知的なブレイクスルーを経験した学生たちは,後は自分で勉強します.学びの本質は自学自習ですから,後はもう放っておいても構わない.本を貸してくれと言われたら貸し,学会に行きたいと言われたら連れていき,会いたい人がいると言われれば紹介する.それから後の教師の仕事は「点をつなぐ」だけです.ひとたび「学びたい」という状態になった学生に対して教師がする仕事はもうそれだけで十分なんです.ですから,教師にとっての問題はどうやって「学びたい」という思いを起動させるか,それだけです.
内田先生のコラムより.仕事も同じだと思うんですよね.単に言われたことだけをやっても仕方ない.いかに能動的にできるか.また,そういう雰囲気を作れるか.パワハラの問題は,この一点に尽きると思う.知性が活性化している人を不活性にしてしまうのだよ.