他人の実力を落とすことにメリット

それは子どもたちが「自分の同学齢の子どもたちができるだけ無能で愚鈍であることから利益を得る」モデルになじんでしまうからである.受験競争では,自分の学力が上がることと,他人の学力が下がることは,同義である.子どもたちは,無意識的には,自分以外の同学齢集団の子どもができるだけ勉強をしないことを望んでいる.同世代の子どもたちが,できるだけ知的に不活発であることを望んでいる.その方が競争において自己利益を確保する上で有利だからだ.「努力する子どもたち」は機会があれば,他の子どもたちを「努力する気を失うような無力感」のうちに叩き込もうとする.個人的な性情の善悪とはかかわりがない.彼らは,合理的な判断として「他人の努力を妨害する」ことを,ごく自然なふるまいとして行うようになるのである.
内田先生のコラムより.定数が決まっている入試なんかでは,自分の実力を上げることより,他人の実力を落とすことも有効.そりゃ,そっちの方が手っ取り早いよね.