手の内を明かすと安心してもらえる

国際交渉でも根回しは大事です。根回しというよりも、コミュニケーション。相談されれば、誰だって嬉しい。それは、外国人が相手でも一緒です。日本で言う“腹芸”とは違い、率直が一番です。根回しで、相手の意見が大きく変わることはほとんどありません。ただし、それだって意味はあります。その時すぐに変わらなくても、途中で反対だったのが中立になったり、賛成に回ってくれたり、ということはありますから。こちらの意見を事前に相手に伝えておくことは、とても大事なことなのです。そうすると、相手も安心できる。イエス、ノーの軸を最初にはっきりさせておくと、相手も妥協点を見いだしやすくなる。反対に、安心できない相手と交渉していると、人間ですからつい、防衛本能が働いて、態度が硬化してしまいます。私が交渉担当者だった時にはよく、「小松さんは手の内がわかるから安心できます」と相手国の担当者に言われました。ほかの日本人が交渉相手だと、何を考えているのかわからない、と。こういう場合、決して良い結果にはなりません。

まがぬまみえ氏のコラムより.