集団内部での資源の分配競争に勝ち残る→いじめ

「集団としてどうやって生き延びるか」ということが優先的な課題であれば、私たちは集団成員の全員がどうすればそれぞれの個性を発揮し、それぞれの潜在的能力を最大化することができるかを考える。

最前線に放り込まれた兵士たちは生き延びるために、味方の兵士たち全員が高いパフォーマンスを発揮することを切望する。「自分以外の全員が自分より戦闘能力が高い状態」を歓迎する。その方が「自分ひとり戦闘能力が高く、あとは使い物にならない」状態よりも、自分自身が生き延びる確率が高まるからである。そのように状況を認識していれば、誰も集団内部での「競争」や弱いもの「いじめ」に時間やエネルギーを割きはしない。

現代日本の不幸は、あまりに長期にわたって安全で豊かな社会が続いたために、喫緊の課題が、「集団として生き残ること」ではなく「集団内部での資源の分配競争に勝ち残ること」に変わってしまったことにある。

内田先生のブログより.