再チャレンジのシステムがなければイノベーションは起きない

日本と米国を比べると、中小企業の産業構造に大きな違いがある。米国の中小企業は平均寿命が短く6年程度だという。新たに参入した中小企業(とくにベンチャー)は、高いリターンを求められる。それがうまくいかなければ、比較的短期間で退出を余儀なくされる。したがって中小企業の寿命が短いのだ。一方、日本では、中小企業の平均寿命が米国より長いようだ。一説によると12年程度であるという。そして、もし会社が潰れれば、その経営者が再起するのはかなり難しい。米国のように、失敗を糧に再チャレンジというのが簡単にはいかないのだ。革新的なイノベーションを生み出すという意味で、日米どちらの産業構造が好ましいかは明らかだろう。多産多死で高いリターンを求められる米国のほうが、リスクを取って革新的なイノベーションに挑戦する誘因が高くなる。

伊藤元重氏のコラムより.